蒸し暑い日が続いていますが、こんな時でも蓼科の木陰に入ると涼しい風に包まれ、汗も乾いてしまいます。
さて、本日リフォーム担当の炭屋さんから声がかかり、「ヤマネが別荘にいるので見てもらいたい」との依頼があったので同行しました。
場所は朝日ヶ丘のI様の山荘です。
山荘に到着し、天然記念物の「ヤマネ」を見つけました。
◆◇ ヤマネ ◇◆
ヤマネは、体長約8cm・体重18gほどの大きさで、夜行性・冬眠をするのが特徴の哺乳類。本州・四国・九州にのみ生息する一属一種の日本固有種です。また、国の天然記念物で環境庁による「日本版レッドデータブック」では希少種に指定されています。
不思議なことにヤマネは我々(人間)を見てもまったく逃げる気配がありません。
近くに4匹の生まれたばかりの赤ちゃんがいるではないですか!
赤ちゃんヤマネを箱に移してしばらく様子を見ているとお母さんヤマネが箱に入ってきました。
このチャンスに親子で捕獲に成功!
オーナーのご夫妻もヤマネのことをご存じなかったようで、
「ヤマネは天然記念物でとても貴重な動物です」と説明させていただくと、
「こんなにかわいくて、珍しい動物だとは知りませんでした。是非保護してください。」とご理解をいただき、暖かく見守っていただきました。
ヤマネやヒメネズミは親指の大きさでも穴があれば山荘に営巣する可能性があります。
<ヒメネズミ>
日本に生息する森林性のネズミの中では最も小さく、
頭からお尻まで10cm以下. 身長と同じくらいの長さのしっぽを上手に使って木に登り、樹上に巣を作るものもいる。
ヒメネズミとヤマネの違いは尻尾を見ると良く分かります。
ダンボールにヤマネ親子を慎重に移して、「さて、どうするか?」
炭屋さんと相談です。「誰か引き取ることはできないか?」「自然に帰すことはできないか?」
心配そうに子供を見守るお母さんヤマネ
管理事務所に持ち帰り、インターネットでヤマネについて調べていきました。
すると山梨県北杜市にある「やまねミュージアム」に辿りつき、担当の饗場さんにアドバイスをいただくことができました。
「ヤマネを親子で捕まえることができれば、自然に戻すことができる」とのこと
アドバイスに従い、外敵に襲われにくい場所に巣箱を作って自然の中に
戻してあげることにしました。
キープ・ネイチャーセンター「やまねミュージアム」
財団法人キープ協会 やまねミュージアム
〒407-0311 山梨県北杜市高根町清里3545
TEL/FAX 0551-48-3577
早速、場所を探して巣箱を設置。雨が降っても水が抜けるよう底上げし、ビニールで覆い、
落ち葉をかけて自然に近い状態にします。お母さんが出入りできる小さな穴を開けて完成。
「ヤマネ親子の引越し」は無事終わりました。
この巣の中で子供達が元気に育つことを祈るのみです。
今回は駆除ではなく、無事に保護することができ、スタッフの一員として喜んでおります。
しかし、全てがこのようなケースとは限りません。
姿を見なければネズミとヤマネの区別は難しく、屋根裏などに住み着いて
深夜に音を立てて悪さをすることもあります。
「人間と野生動物との共存」は大変に難しいテーマです。
最後にオーナーのIご夫妻には最後まで暖かく見守っていただき、
この場を借りて厚く御礼申し上げます。