八ヶ岳火山は爆発を何回も繰り返した結果大小さまざまなマグマの噴出口の火口跡が存在し南北におおよそ20kmの火山列を形成しています。これほど大規模な火山列は日本でも例はありません。ここでは蓼科ビレッジに一番近い麦草火山群の一部を観てみましょう。
① 麦草峠周辺に点在する麦草火山群の噴火活動によって出現した火口の一つで麦草峠から樹林帯を奥深く進み雨池への途中にある通称地獄谷と呼ばれる火口があります。火口の底部まで近づくともの凄い迫力があります。現在に至っても直径約100m深さ30mの火口が変形せずしっかり原形を保っているのは地質学・火山学上大変貴重となっています。
② 麦草ヒユッテ近くに聳える夏山登山で行ったことのある茶臼山は火山を代表する美しい円錐形の溶岩円頂丘の山で八ヶ岳火山の中では最も新しい最終火山群に属します。頂上部には直径30mの湿地帯の窪地があり火口の跡が窺えます。ここの展望台からは眼下にビレッジのエリア一帯が見渡せ眺望は最高です。
③ 国道299号沿いの冷山登り口の狭霧苑から進むと太古からの姿で現存している原生林の暗い「斧断ちの森」の中程に突然光が差し込まれ明るく開けた「駒鳥の池」が現れます。この池もかつての噴出口へ雨季に雨水が溜まって出現するいわゆる火口湖です。訪れる人も少ないこの神秘的な場所にはシラビソなどの針葉樹林に囲まれ辺りは森閑とし、当時の激しい活火山の荒々しい場所とは想像もつきません。
④ この冷山一帯の火山岩には縄文時代に多く使用された石器の原石である良質の黒曜石が数多く存在することで知られています。
ビレッジのあずさ平に鎮座している大瀧神社にはここの冷山の黒曜石が御神体として祀られています。
⑤ 縄文時代最も多く使われた石器の材料は黒曜石でした。黒曜石は
狩猟をはじめ日常生活には欠かせない必需品でした。この縄文時代には八ヶ岳山麓に竪穴式住居が出現し大きな集落がいくつも発達し縄文時代の文化の中心地として大繁栄します。この時代には尖底土器・平底土器や押型文様土器が作られ国宝土偶「縄文のビーナス」、「仮面の女神」などが出土しています。こうして栄えた八ヶ岳山麓の縄文時代はやがて金属器が使用され始め稲作や農耕の発達とともに弥生式時代に移り進み文化の中心も各地へと分散されてくことになります。
⑥ そして・・・。そして・・・。蓼科ビレッジが立地しているこの八ヶ岳山麓は時代をめぐり巡って現在では日本でも有数な名だたる高原リゾート地である観光文化都市として当時の縄文文化をしっかり引き継ぎながら蘇っています。
火山の恩恵はこのように文化や歴史に大きく関わっていることにただただ驚くとともに感激せずにはいられません。